深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

『星座を見つけよう』子どもと一緒に楽しむ星の絵本

星一つ残して落つる花火かな 酒井抱一いつの時代も星は人々に詩をもたらしてきたことがわかります。 星座を見つけよう H・A・レイ 作 草下英明 訳 出版年: 1969年4月 出版社: 福音館書店 本の内容紹介から あなたは、星や星座の名前を、どのくらい知ってい…

『カエルのバレエ入門』伝統、型、表現、筋肉

これはなんといっても、カエルの優雅な姿を描いているクリントン・アロウッドに拍手です。カエルの真剣・大真面目な表情と華麗なポーズが最高にキュートな絵本です。 カエルのバレエ入門 ドナルド・エリオット 文 クリントン・アロウッド 絵 出版社: 岩波書…

『つきのぼうや』カタチで楽しむおはなし

つきのぼうや イブ・スパング・オルセン 作 やまのうちきよこ 訳 出版社: 福音館書店 出版年: 1975年10月 縦33.5㎝、横12.7㎝ 絵本としてはかなり変形なサイズが目をひきます。 開くとそのわけがわかります。 まず、見返しが印象的。 雲間から見える満面の…

『ほしになったりゅうのきば』七夕の夜に読みたい絵本

赤羽末吉さんの迫力ある絵が魅力的な大型の絵本。 ほしになったりゅうのきば 君島久子 再話 赤羽末吉 画 出版社: 福音館書店 出版年: 1976年12月 表紙からして竜が可哀相に思えるくらい、主人公のサンは強いのです。 中国の民話をもとにしたおはなしは、夜…

『ちびくろさんぼのおはなし』こんなことがあったらおもしろい

この絵本の楽しさは、その奇想天外さ。 なんといっても、トラがとけてバターになってしまうのですから。 ちびくろさんぼのおはなし ヘレン・バーナマン 作 なだもとまさひろ 訳 出版社: けい書房 出版年: 1999年6月 〜とらたちは はしって はしって はしり…

『川はながれる』はじまりを考えてみる

川の流れをみて思い出した絵本が、まさに「川はながれる」です。 川はながれる アン・ランド 文 ロジャンコフスキー 絵 掛川 泰子 訳 出版社: 岩波書店 出版年: 1978年11月 自然を観察する眼差しが遺憾なく発揮されています。 派手さはありませんが、木々…

『ふわふわしっぽと金のくつ』異国の行事をたのしむ

ふわふわしっぽと金のくつ デュ・ボウズヘイワード 文 マージョリー・フラック 絵 出版社: PARCO出版 出版年: 1993年7月 この絵本、春のこの時期にいつも思いだします。 表紙のうさぎたちと柔らかな春色に、ほっとします。 キリスト教を信奉する国のお祭り…

『ムーン・ジャンパー』だれもがこんなふうにしてみたくなる

なんとも、しっとりとした空気が感じられる絵本です。 ただただ生きる喜びを感じられる、そんな絵本です。 ムーン・ジャンパー ジャニス・メイ・ユードリー 文 モーリス・センダック 絵 谷川 俊太郎 訳 出版社: 偕成社 出版年: 2014年10月 おひさまは、く…

『海べのあさ』世界は輝いていると知る

きらめき・・・ はじめてこの絵本を読んだときの第一印象。 海べのあさ ロバート・マックロスキー 作 いしい ももこ 訳 出版社: 岩波書店 出版年: 1987年7月 サリーと妹のジェイン、おかあさんとおとうさんの4人家族は、海辺のそばに暮らしています。 あ…

『ぼくはきみできみはぼく』子どもの目線を知りたい時に読む絵本

この絵本に描かれる子どもたちのなんと楽しげなこと。 細く繊細な線、くるくると踊る線、 子どもたちの姿がとにかくたくさん描かれています。 あるページでは、6人がしぐさを変えて10のパターン、 どのポーズも弾けています。 子どもの世界で子どもはこんな…

『すばらしいとき』自然を体感する素晴らしさ

すばらしいとき ロバート・マックロスキー 作 わたなべ しげお 訳 出版社: 福音館書店 出版年: 1978年7月 夏の気配が場面いっぱいに感じられる絵本です。 表紙からして水辺にヨット、夏になるとページをめくりたくなります。 湾に小島の連なる避暑地、夏の…

「名馬キャリコ』活劇でスカッと爽快になる

はじめてこの絵本をみたとき、まるで映画のよう、と思いました。 名馬キャリコ バージニア・リー・バートン 作 せたていじ 訳 出版社: 岩波書店 出版年: 1979年11月 ところははるか、西部のサボテン州に、その名をキャリコとよぶ名馬がおりました。みめ美…

『うさぎのみみはなぜながい』何事も理由を考えてみる

これは、メキシコがまだナオワの国といった時代の、おおむかしの物語です。 そのころすんでいたメキシコ人は、みな、わたくしたち日本人そっくりの人たちで、アステカ文化という、たいそう高い文化をもっていました。 うさぎのみみはなぜながい 北川民次 作 …

『金のがちょうのほん』昔話の摩訶不思議な世界

レズリー・ブルック文・画のこの絵本には、副題にあるとおりー四つのむかしばなしーが収められています。「金のがちょう」「三びきにくま」「三びきのぶた」「親ゆびトム」、いずれもイギリスの昔話、日本人にもなじみ深いおはなしです。絵本が出版されたの…

『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』子ども時代に出会える冒険を心ゆくまで

ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん エルサ・ベスコフ 作 おのでらゆりこ 訳 出版社: 福音館書店 出版年: 1977年5月 プッテは かごを 二つさげて もりへいきました。ブルーベリーとこけももを つんで、おかあさんの たんじょうびの おくりものに したい…

『ルピナスさん』世の中を美しくするためにできること

ルピナス。 言葉にしてみると、また声に出してみると、流れるような、そして美しいひびきを持って、名前の美しさそのままのピンク、紫、白のパステルカラーの花。 作者はバーバラ・クーニー、現代アメリカを代表する絵本作家です。いちばんの特徴はその端正…

『あおい目のこねこ』へんてこはすてきなこと

この絵本は青い目をもつネコがネズミの国を目ざすおはなし。 あおい目のこねこ エゴン・マーチセン せた ていじ 訳 出版社: 福音館書店 出版年1965年4月 1965年が初版ですから、半世紀を越えました。 本の厚みも12㎜ほど、右ページに絵、左ページ文字、山吹…

『ゆかいな かえる』生き物の躍動感が伝わってくる絵本

ゆかいな かえる ジュリエット・ケペシュ 作 いしい ももこ 訳 出版社: 福音館書店 出版年: 1964年7月 4ひきのカエルが楽しげな表紙。 ミドリとアオは自然に溢れた色、使われている色もこの2色に白と黒のみ。 水辺のアオがほとんどページのばっくの色なの…

『きこえる きこえる なつのおと』日常を音で見てみる試み

きこえる きこえる なつのおと マーガレット・ワイズ・ブラウン 文 レナード・ワイズガード え よしがみきょうた やく さわやかな水色の空とひまわりの花が夏を演出しています。子犬のマフィンを乗せた車は牧場をめざして走ります。マフィンがみる夏の牧場の…

『せんろはつづくよ』きみとぼくのつづく明日へ

2だいの ちいさな きかんしゃがせんろの うえを はしります、2だいの ちいさな きかんしゃはにしへ むかってしゅっぱつです。ぱふぱふ ぱふぱふちゃぐちゃぐ ちゃぐちゃぐぱふぱふ ぱふぱふちゃぐちゃぐ ちゃぐちゃぐ せんろはつづくよ マーガレット・ワイズ…

『うちがいっけんあったとさ』スキップするような気持ち

うちがいっけんあったとさ ルース・クラウス 文 モーリス・センダック え 出版社: 岩波書店 出版年: 1978年11月 センダックはいろんな絵を描きますが、これは線で描かれた絵が、自由に動きまわっています。青いズボンをはいた男の子が、それこそスキップす…

『おおきなのはら」自然をまわりをよくみること

カラフルな表紙をめくると、見返しには虫捕り網とバスケットを手にした男の子と女の子が、家を後にするところ。燦々と輝く太陽の照りつけるのはらへ。さて、のはらはどんなところでしょう。 おおきなのはら ジョン・ラングスタッフ 文 フョードル・ロジャン…

願いごとをすることは叶うということ『ケニーのまど』

センダックがはじめて絵と文を自作した絵本。七つのなぞなぞをめぐる不思議なおはなし。ケニーのまど モーリス・センダック 作 じんぐう てるお 訳 出版社: 富山房 出版年: 1975年12月 1.だれかに だめといわれても、 こくばんに えをかくには どうしたら…

仲直りに言葉はいらなかった『きみなんか だいきらいさ』

お正月休みに帰省していた息子のハチが 6年ぶりに小学校時代の友だちと会うとのこと。 センダックのこの絵本を思い出しました。 子どもの頃、 仲直りに理由はいらなかったことを思い出しました。 きみなんか だいきらいさ ジャニス・メイ・ユードリー ぶん …

『しりたがりやのちいさな魚』◆好奇心と自由

スゥエーデンの絵本作家エルサ・ベスコフのちょっとユニークなお話。 読み終えるのに15分はかかる、かなりお話しの量がある絵本です。 日差しが強く感じられ水辺が恋しくなる 5月から6月によく読みました。 ちょっとおかしな魚たちの姿が子どもたちの笑顔…

『ティッチ』◆にみる兄弟の当たり前

この絵本に登場するのは、三人の兄弟のみ。 ティッチ、は末っ子の男の子の名前です。 画面はシンプル。 ほとんど背景もありません。 (見開き3ページ以外は、紙の色の白が背景!) 三人の関係性だけに注目したともいえるでしょう。 小学校入学したての1年…

『ことばあそびうた』で日本語の楽しさとおもしろさを知ろう

この絵本も子どもたちによく読みました。 小学校では3年生に一番読んだでしょうか。 学校で読むと子どもたちは、知らず知らず笑顔で聞いてくれていましたね。日本語の楽しさを再確認しました。 15編の詩がひらがなで書かれています。1973年が初版、長年読み…

『長ぐつをはいたねこ』少しの無理と知恵と工夫!

グリム童話(初稿は『靴はき猫』にも収録されている、多くの人が知るお話です。 日本でもTVや映画で何度かアニメーションになっています。 誰もが知るお話だからこそ、絵本は”絵”を選びたい! そこで選んだのは、ハンス・フィッシャーの絵本です。 『長ぐつ…

『ゆうかんなアイリーン』自然の中での身体感覚と自力

吹雪の中、大きな黄色箱を抱えて歩く女の子、アイリーン。 彼女が「ゆうかんな」わけが絵本で描かれています。 雪の降るころ小学1年生から3年生によく読みました。 大人は子どもの頃に感じた雪の感触を思い出すかもしれません。 ゆうかんなアイリーン ウイリ…

『チムとゆうかんなせんちょうさん』王道の冒険譚!憧れの先にある仕事

『チムとゆうかんなせんちょうさん』は、 少年チムを主人公にした海を舞台にした冒険の物語です。 作者のアーディゾーニは1900年の生まれ、 生誕100年を記念して、日本ではシリーズ11冊が刊行されました。 チムのシリーズは作者が当時5歳だった息子とそのま…