深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

生活

『ムーン・ジャンパー』だれもがこんなふうにしてみたくなる

なんとも、しっとりとした空気が感じられる絵本です。 ただただ生きる喜びを感じられる、そんな絵本です。 ムーン・ジャンパー ジャニス・メイ・ユードリー 文 モーリス・センダック 絵 谷川 俊太郎 訳 出版社: 偕成社 出版年: 2014年10月 おひさまは、く…

『海べのあさ』世界は輝いていると知る

きらめき・・・ はじめてこの絵本を読んだときの第一印象。 海べのあさ ロバート・マックロスキー 作 いしい ももこ 訳 出版社: 岩波書店 出版年: 1987年7月 サリーと妹のジェイン、おかあさんとおとうさんの4人家族は、海辺のそばに暮らしています。 あ…

『ぼくはきみできみはぼく』子どもの目線を知りたい時に読む絵本

この絵本に描かれる子どもたちのなんと楽しげなこと。 細く繊細な線、くるくると踊る線、 子どもたちの姿がとにかくたくさん描かれています。 あるページでは、6人がしぐさを変えて10のパターン、 どのポーズも弾けています。 子どもの世界で子どもはこんな…

『すばらしいとき』自然を体感する素晴らしさ

すばらしいとき ロバート・マックロスキー 作 わたなべ しげお 訳 出版社: 福音館書店 出版年: 1978年7月 夏の気配が場面いっぱいに感じられる絵本です。 表紙からして水辺にヨット、夏になるとページをめくりたくなります。 湾に小島の連なる避暑地、夏の…

『ルピナスさん』世の中を美しくするためにできること

ルピナス。 言葉にしてみると、また声に出してみると、流れるような、そして美しいひびきを持って、名前の美しさそのままのピンク、紫、白のパステルカラーの花。 作者はバーバラ・クーニー、現代アメリカを代表する絵本作家です。いちばんの特徴はその端正…

『きこえる きこえる なつのおと』日常を音で見てみる試み

きこえる きこえる なつのおと マーガレット・ワイズ・ブラウン 文 レナード・ワイズガード え よしがみきょうた やく さわやかな水色の空とひまわりの花が夏を演出しています。子犬のマフィンを乗せた車は牧場をめざして走ります。マフィンがみる夏の牧場の…

『おおきなのはら」自然をまわりをよくみること

カラフルな表紙をめくると、見返しには虫捕り網とバスケットを手にした男の子と女の子が、家を後にするところ。燦々と輝く太陽の照りつけるのはらへ。さて、のはらはどんなところでしょう。 おおきなのはら ジョン・ラングスタッフ 文 フョードル・ロジャン…

『しりたがりやのちいさな魚』◆好奇心と自由

スゥエーデンの絵本作家エルサ・ベスコフのちょっとユニークなお話。 読み終えるのに15分はかかる、かなりお話しの量がある絵本です。 日差しが強く感じられ水辺が恋しくなる 5月から6月によく読みました。 ちょっとおかしな魚たちの姿が子どもたちの笑顔…

『ちいさいじどうしゃ』すべてをきちんと記述する

車の絵本。 子どもたちは、乗り物が大好きですね。 真四角な小ぶりの絵本は、まさに子どもサイズ。 就学前の子どもたちによく読みました。 ちいさいじどうしゃ ロイス・レンスキー ぶん・え わたなべしげお やく ページ: 47ページ出版社: 福音館書店発行年…

『木はいいなあ』木のまわりの気持ちよさを知ろう

新緑に季節を迎えると開きたくなる絵本です。 タイトルのとおり 「木はいいなあ」 とまわりを見て、絵本を読んで、心から思えます。 木はいいなあ ユードリイ さく シーモント え さいおんじ さちこ やく ページ: 32ページサイズ: 28 x 16.4 出版社: 偕成…

『かえでがおか農場のいちねん』1年と季節の農場の仕事がわかる

子どもたちは日々を、今を全力で生きています。 1年という時間をわかるのはいつ頃でしょうか。 小学生になると、1年たって2年生に、3年生にと、 1年を実感できるでしょう。 今は多くの子が、幼稚園や保育園へいくでしょうから、 園や家庭や行われる季節の行…

『スーザンのかくれんぼ』かくれることから見えてくる世界

表紙の鮮やかさから、初夏に読みたくなる絵本です。 イエローレモンの黄色は太陽の陽ざしを感じさせます。 「かくれんぼ」といえば子どもの遊びの定番ですが、それをキーワードに子どもの繊細な気持ちに寄り添える、そんなおはなしです。 読んだ人それぞれの…

『パンやのくまさん』◆誠実・実直・礼儀正しさが描かれる

やや小ぶりのサイズの絵本は、小学校の教室で20人の読み聞かせで読むより、図書室で数人の時に読む絵本でした。 表紙のどこか懐かしい絵のタッチは野暮ったくさえみえます。 はじめて出版されたのは1979年、アメリカ。日本では1987年に訳されています。 この…

拡がる世界を体験する子どもたちが描かれる『げんきなマドレーヌ』

春のイメージカラーは、桜のうすいピンクと黄色。 黄色は菜の花やレンギョウ、ラッパスイセン、 ワーッと咲きほこる姿が印象に残ります。 新学期を迎える子どもたちにも 明るい色は元気のでる色です。 大きな絵本で教室で30名を前に開いても見劣りしない大き…

見た目は大切!『どろんこハリー』やさしい人々が暮らす街

見事な毛並み、ぬいぐるみが歩いているかのよう 全身ふわふわもこもこ、見惚れる様な そんな犬を見かけることがありました。 飼い主のことをしっかりみています。 ワタシたちのことも、物凄い目力で見ていましたよ。 なんだか人みたいに思えました。 犬を主…

いたずら盛りの子どもに読みたい『ひとまねこざるときいろいぼうし』子どもの好奇心の源は?

さるのじょーじの腕白ぶりが描かれる絵本です。 てんやわんやの出来事が次々に 繰り広げられる、このおはなしは シリーズになっていて 小学校でもよく読みました。 いたずら心をくすぐるような じょーじの活躍に子どもたちも 胸を好くような面持ちなのでは …

『たんじょうび』おくり贈られる気持ちが描かれる

誕生日はいくつになってもうれしいもの。 1年が無事に過ぎた安堵と 次の1年への期待が交錯する日ですね。 子どもたちは誕生日がとても楽しみです。 まわりの大人たちはみな笑顔で 誕生日、おめでとう! と嬉しそうですから。 この絵本は入学したばかりの1年…

『ありがたいこってす』見方を変えたら物事は変わるということを知る

まずタイトルが洒落ています。 それだけで読んでみたくなるではありませんか。 原書はIT COULD ALWAYS BE WORSE。 日本語の豊かさを感じます。 裏表紙に 読んであげるなら4才くらいから とあるのですが、 小学校では不思議に高学年に読むことが多かった絵本…

出会いとふれあいと別れを描く『赤い目のドラゴン』映画のようなシーンが印象的

映画にもなった「長くつしたのピッピ」 の作者リンドグレーンが文を書いています。 ふたりのきょうだいが出会ったドラゴンとの交流を 丁寧に描いています。 絵本ですが、かなり文章が多めです。 読み聞かせでは4年生、5年生、6年生によく読みました。 とても…

トランクになにを入れる?『かしこいビル』こだわりやお気に入りができたら読んでみたい

この絵本の特徴はなんといっても、 本文も表紙もすべてが手描き文字で書かれていることです。 なんとも味のある文字で、子どもすぎず大人すぎない文字。 一文字の中にも太さの強弱、 一行の中でも文字の大きさに大小があり、 行が上下に揺らいでいたりします…

小学生に暮らしと経済を学べる絵本!手作りと1年を実感できる『にぐるまひいて』

今は、生活に必要なものは、大抵買うことができますね。 作る人がいて、買う人がいます。 買う人がいるので、それを作る人がいます。 よく野菜を育てている人から、 季節季節に作ったものをいただきます。 よく知る人が作って野菜は、 その顔が見えて安心で…

穏やかに見守る、きちんと話す『くんちゃんのだいりょこう』にある優しい眼差し

子どもは好奇心の塊です。 見るもの触れるも、 これ何? あれはどうなってるの? 〇〇やってみたい! と忙しい。 5歳くらいになると、 自分でかなり体も操れるようになりますし、 あれやこれや自分なりに考えるようになります。 そんな子ども、 そして親にも…

うさこちゃん=ミッフィーの誕生『ちいさなうさこちゃん』

日本では、ミッフィーの名で親しまれている うさこちゃんです。 キャラクターとしてのミッフィーちゃんは知っていても、 絵本のうさこちゃんを知らない方も多いのではないでしょうか。 それは、もったいない!! ぜひ、うさこちゃんのおはなしを子どもたちと…

こころが落ち着くしかけが随所に◆『おやすみなさいおつきさま』は眠るまえに読む絵本

眠る前に絵本を子どもといっしょに読むのは、 昼間あわただしく過ごす大人にとっても安らぎ落ち着く時間です。 そんな時におすすめなのがこの絵本。 その不思議なしかけに大人は気づくでしょうか。 きっと子どもたちの方が先に発見するでしょう。 おやすみな…

帰るべき場所がある喜びを実感する『あくたれラルフ』理解者がいる安心感

色鮮やかな絵本はながめているだけで心が浮きだちますね。 ご紹介する絵本は、とびきりカラフル!! 絵もおはなしも思いっきりデフォルメがきいています。 その突飛な場面がホントだったら、楽しい、に変わる そんな絵本です。 就学前の子どもたちから小学校…

りんごと過ごす四季の移ろい『りんごのき』

いまは一年中みかけるりんごですが、 やはりおいしくなるのは、収穫の秋ですね。 収穫の時期、いちばんおいしくいただけるのが旬です。 そんな収穫を心待ちにりんごの世話をしながら、 四季はめぐります。 この絵本で、収穫を待つという楽しみを知ることでし…

『パセリともみの木』自然の厳しさと人のくらしを描く

もみの木がタイトルにあることから、 12月によく読み聞かせしました。 絵柄のせいか落ち着く絵本です。 もみの木の枝がシカの角のようとは、 この絵本で知りました。 自然の中で老いていく動植物と、 それを糧に生きる人間の関係をさりげなく描いています。 …

『おやすみなさいのほん』幼な子に眠りへのおまじないに

子どもたちは、元気がいちばん、 元気に遊んでゆっくり眠ってほしい、 それが親心ですよね。 ご紹介するのは、 おやすみ前にゆっくりと、 開いてほしい絵本です。 やさしい眠けが絵本の中に漂っているようです。 一緒にながめたら、 いっしょに眠ってしまい…