深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

帰るべき場所がある喜びを実感する『あくたれラルフ』理解者がいる安心感

色鮮やかな絵本はながめているだけで心が浮きだちますね。
ご紹介する絵本は、とびきりカラフル!!
 
絵もおはなしも思いっきりデフォルメがきいています。
その突飛な場面がホントだったら、楽しい、に変わる
そんな絵本です。
 
就学前の子どもたちから小学校3年生くらいまで
幅広く読み聞かせできます。
 
「なまごみねつ」に罹ってしまうラルフ、
この「なまごみねつ」に3年生などは食いついてきますね、

 

どんな熱なの?と

 

訳は石井桃子さんです。
実直に、わかりやすく、空想しやすく
絵の邪魔にならない、いつもながらすてきな翻訳です。

 

あくたれラルフ

ジャック・ガントス 文
ニコール・ルーベル 絵
いしい ももこ 訳
大型本: 46ページ
サイズ: 23x21.4cm
出版社: 童話館出版
出版年: 1995年

にぎやかな部屋でのあくたれになってみる

ひまわりとチューリップのにぎやか壁紙が印象的な部屋。 とてもモダンな印象を受ける絵本です。色も多彩で明快、床や壁など大きな面は水彩で塗られているのか、 色むらが絵にリズムをもたらしています。
 
吊り上った大きな目、口も大きく、 ひげはピンと長くのびて毛並みもちょっとゴワッとしていそうな猫のラルフ。
まさに「あくたれ」を絵にしたよう。 けれど不思議に憎めない愛嬌のあるキャラクターになっています。
 

あくたれだけど憎めない、家族の温かいまなざし

いたずら大好きラルフを見守る家族の眼差しは温かです。
仕方ない猫だなぁ、といったところでしょうか。
基本的に「あくたれ」より「すき」が勝っている様子がわかります。
 
サーカス場でのひと騒動、 セイラに見つけてもらったラルフは、
帰る場所があることに安堵します。
 
そして最後にエビを頬ばりながら、 ほどほどの「あくたれ」が
許される場所にいられる幸せを味わっているのでしょう。
 

にぎやかな部屋で想像できること

ラルフのお話と絵は、ユニークな言葉とともに
この絵本らしさになっています。
 
人物や動物、草花、建物・家具・調度品にいたるまで、 そのポーズや動きなどすべてがデフォルメされて描かれておおり、 動物もバランスが崩れているように見えます。
 
けれど不思議に違和感は感じられません。
あのラルフを描くなら、背景や小道具も、ラルフ仕様。
 
それが絵本全体を貫いて描かれていますね。
 

カラフルな中にスキという気持ちをこめて

色使いもとにかく派手
一つの場面に少ない時でも十色、
多い時は三十色以上が使われています。 このカラフルさがこの絵本のわくわく感になっています。このお話は冒頭の
あくたれでも、セイラは、ラルフが すきでした
につきるのですね。
 

時には思いっきり子どもを自由にさせてみましょうか

息子が子どもだったころ、びっくりしたことをいくつか。
 
3歳、雨の中を、裸で駆けまわる
4歳、雪の中私をさがして、1度しか行ったことがない場所へ一人でやってきて、肝を冷やした
5歳、ブロックのレゴが好きで、何時間も熱中
3歳、ブナ林に行くとスイッチが入ったように駆け回りはじめた
4歳、新雪が降ってその雪を思いっきり頬ばってニッコリ
4歳、タンポポの綿毛飛ばしをはじめ、綿毛の中に埋もれるくらいまでやってた
3歳、夏、祖父と蝉取りに出かけたら小さなかごに20匹ほど捕まえてきた
5歳、シャボン玉を飛ばしていたが、そのうち地面にシャボン玉ドームを作った
6歳、ホットケーキのデコレーションに凝って3日連続作った
7歳、あやとりにはまり、15段梯子までつくる
9歳、枝雀落語の「代書」のDVDを見て涙を流して笑い転げた。
(枝雀落語のあるだけのCDを録音。3年間晩ごはんの時と寝ながら聞いていた)
 
ラルフほどのやんちゃはしませんでしたが、思い出すと笑えます。
ご訪問ありがとうございます。
絵本選びのきっかけになればうれしいです。