深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

動物の世界を垣間見る『いたずらこねこ』ネコとカメの様子を実況中継

登場するのは動物だけ。
 
そうした世界を描けるのは、
絵本のひとつの楽しみといえます。
 
ご紹介するのはネコとカメのおはなしです。
小学1年生から3年生まで読むことが多かったですね
 
子どもたちもが、ネコとカメの動静に
どきどきするのが
読んでいても伝わってきた絵本です。
 
いたずらこねこ
バーナディン・クック作
レミィ・シャーリップ絵
ページ: 48ページ
サイズ: 26 x 18.2 x 1.2 cm
出版社: 福音館書店
出版年: 1964年
 

同じ画面構成で進むおはなし

同じ場面、ネコとカメ、黒と緑。
シンプルな構成で最初から最後まで 淡々と描かれています。立ち位置と姿勢だけでいろいろなことが わかると気づかされます。
 
ネコとカメが右に左に、 駆け引きに余念がありません。 はじめ左右の端に位置していたカメとこねこですが、 時間が進むにつれて、距離が近づいてきます。  
そして交錯しネコが左へカメが右に。 ネコがカメの池に落っこちて、
 
その驚きの表情がなんともいえず。
一目散に飛び出して垣根の向こうに退散します。見開きで24場面あります。 パラパラめくったら動画になりそう。

読んでもらうことで絵に集中できる

絵もさることながら、
こまかな動きのひとつひとつを、 丁寧に書いてある文が、
読んでもらった時に、 よりワクワク感を感じるようになっていると、
とあらためて感じました。ネコの毛並みの描かれ方や カメの模様が線で描かれて目を引きます。 
ネコとカメの視線のぶつかり具合も、 接近戦の楽しさ、火花が散ってます。

身近なものを観察してみたら

擬人化されたおはなしを
楽しむタイプの絵本ではありません。
 
こちらからネコとカメの様子をのぞき見している、
 
そんな絵本です。
ネコとカメは会話するでもなく、
彼らの様子が淡々と語られるのです。
 
それが実況中継となって、
あれ、次はどうなるの?
 
そんなふうに子どもたちを惹きつけます
 
身近なものを観察して実況中継してみましょうか。
細かな変化に色々と気づくきっかけになりますね。
 
ご訪問ありがとうございます。
絵本選びのきっかけになっればうれしいです。