深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

こころが落ち着くしかけが随所に◆『おやすみなさいおつきさま』は眠るまえに読む絵本

眠る前に絵本を子どもといっしょに読むのは、
昼間あわただしく過ごす大人にとっても安らぎ落ち着く時間です。

 

そんな時におすすめなのがこの絵本。
その不思議なしかけに大人は気づくでしょうか。
きっと子どもたちの方が先に発見するでしょう。

 

おやすみなさいおつきさま

マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
クレメント・ハード 絵
せた ていじ 訳
単行本: 36ページ
出版社: 評論社 発行年: 1979年

 

まずは、みどりの部屋に注目をじっくりながめて鑑賞する

(ネタバレですから、楽しみにする方は、この項目とばしてくださいね)
  鮮やかなみどり色と朱色の暖炉のある部屋。 その窓から見えるおつきさま。 絵本は鮮やかな色彩のページとグレーの見開きが交互に配されています。 グレーの見開きでは、「おやすみ」とよびかけるものが大きく描かれ、 カラーの見開きは部屋全体が描かれています。 この絵本の驚きはカラーの見開きのはじめとおわりでは、
へやの明るさがまるで違います。
初めてこの絵本を読んだとき、
だんだんと暗くなっていく部屋の様子に、実は気づきませんでした。 部屋の明るさに気がついた時のショックをよく覚えています。

しずかに進む時の流れを感じてみる

お話は、ひとつひとつのものたちに「おやすみ」を告げて進みます。
カラーのページは、最初明るく夜空は藍色で星が瞬いていますが、 次第に部屋はほのかに暗くなっていきます。
ふたつある大きな窓の左窓から月がみえはじめ部屋に月明かりが差し込みます。 夜空は青く輝いています。 子うさぎはベッドで目を閉じ、
ゆりいすにいたうさぎのおばあさんは姿を消しています。
部屋は人形の家の明かりだけが灯されて、お話はおわります。
おやすみ そこここできこえるおとたちも
「きこえるおとたち」にも
おやすみをいうのは、とても新鮮でした。

 

最後のページからは暖炉の炎の音や、
澄んだ星空の音さえ聞こえそうに思われます。

 

そしてなんとも薄暗くも安らぎを感じる部屋。
部屋にある「おやすみ」をしたものたちが、
子うさぎと眠りについたと感じます。

 

おやすみを告げていくモノたちのストーリーを想像する

この絵本をながめていると、
次々にいろんなことを想像してしまう。
不思議だったのはベッドサイドの丸テーブルに置かれ、 電気スタンドに照らされた
「くし と ぶらし おかゆが ひとわん」
おかゆ食べたの? くしとブラシでみづくろいしたあとで? 具合が悪かったの? 風邪ひいて寝ていたのかな? ぜんぶ食べることできなかったの?
  いろんなことを想像してしまいます。 てぶくろが干してあるから、

 

季節は冬かしら?
暖炉に火もおきてるし、
うさぎのおばあさんが毛糸を編んでいるし、 窓のそとの夜空もたいそう澄み切って見えるからね。

 

壁にかけられた三枚の額に入った絵。 それもみんなかなり大きい絵だし立派な額装。

 

この家の主はきっとお金持ち?
ベッドのそばに虎の皮の敷物があるもの。
それとも画家?
浮かんだ赤い風船は、昼間お祭りにいったのかな。

 

それで風邪ひいちゃったとか?
うさぎのおばあさんが編んでいる緑色の毛糸はセーターかな。
マフラーにしては幅が広すぎるもの。

 

ベッド脇の引き出しの上には、黒電話と本が一冊。
本はこの絵本「GOODNIGHT MOON」。

 

なんという遊び心。 子うさぎもやっぱりこの絵本で眠るんですね

おわりに。雅子さまもオバマ一家も愛読書

皇室の雅子さまが子ども時代に読んだ絵本として、
話題になったこともあります。

 

アメリカのテレビドラマERで、子どもたちがベッドに入り、
この絵本が読まれているシーンを見ました。

 

オバマ大統領家族にも、多くの人に親しまれて愛されている絵本です。

 

ご訪問ありがとうございます。
絵本選びのきっかけになれたらうれしいです。