深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

3歳のとき暗記した絵本!すべての子どもたちのためのおはなし『かいじゅうたちのいるところ』

好奇心旺盛な子どもたちにとびきりの絵本をご紹介します。

 

いつでもどこでも空想の世界に羽を伸ばせることができるのが、
子どもの特権です。

 

モーリス・センダックはアメリカを代表する絵本作家です。
かいじゅうたちのいるところ」は実写映画にもなりました。
(出来栄えは…さておき)

 

息子が3歳のとき、大のお気に入りで、
何度もなんども読んで、暗記した絵本です。

 

自分のひざに抱えてながめて絵本です。

 

彼の描く子どもたちは本当に子どもらしい、子どもなのです。

 

 

じんぐう てるお 訳
ページ: 40ページ
サイズ: 24.8x23cm
出版社: 福音館書店
出版年: 1975年

 

ある日、マックスは大暴れ。
すると、部屋は森になって、

 

そこでに王様になって、いい気分、サイコー!!
でもやっぱり家に帰りたくなって、
帰ってくる。

 

こういう話をあんなふうに描けるセンダックの凄さ、です。

 

描かれた、千差万別のかいじゅうたちを観察する

かいじゅうたちは、ひとりとして同じではありません。

 

  • 顔は、ひげ面、角がある、鼻が大きい、団子鼻、赤鼻、
  • 目は、ぎょろ目、吊り目、
  • 髪は、長くて赤い、黒髪にパーマネント、ショートヘア? 鶏冠のように立ってる、
  • 体は、毛並みの色も縞々、鱗もよう、赤茶の毛、黄色、ダークブルー、
  • 歯は、尖ってる、平べったい、
  • しっぽは、長く柔らかそう、短くくるんと、にわとりのよう、
  • 足は、鋭い伸びた爪、ひとりだけ人間の足、

 

マックスは真っ白なオオカミのぬいぐるみを着こんで、
見てくれは、かいじゅうたちに似ています。

 

それがかいじゅうたちの国のルールといわんばかりです。
かいじゅうたちは、子どもであるマックスを大歓迎します。

 

空の色が時を示す、絵のタッチは繊細かつユニーク

線描のように描かれた、
かいじゅうたちの毛並みや地面、
船の帆やマックスの部屋は柔らかい印象です。

 

マックスが到着したときは、薄っすら青い空。
遊んでいる間はずっと月がでている夜。
帰りたくなった時の空は茜色、
夕やけの色は、
子どもが家に帰りつく時間を空が示しています。

 

かいじゅうの国の夜空に浮かぶ月は、
マックスがいる間に三日月から満月になっています。
随分長くいたわけですね。

 

子どもの絵本にしては暗めの配色ですが、
秘密めいたかいじゅうの国らしいと思えます。

 

子どもはひとりになると、すぐに旅に出ていきます

友だちや夢中になってのひとり遊びをしている子どもは、
いま、この時を十二分に生きています。
遊び疲れてひとり一息つくと、
あっという間に旅(眠る、妄想や空想に浸る)に出ることができるのも、
子どもです。

 

ふっと、今まで騒がしく遊んでいた子どもが、
静かになった…なんて思ったら、
きっと彼は、かいじゅうの国にいるのでしょう。

 

空想のかいじゅうたちの世界とは、帰る場所とは

現実世界から空想の世界への一足飛びは、
子どもの頃は自然に簡単にやっていたことなのでしょう。

 

ですから、
子どもはこの絵本が大好きです。
かいじゅうたちの王さまになれるなんて、
なんて素敵でしょう。

 

かいじゅうの国では、
魔法を使える、
命令し放題、
夜ふかしもへっちゃら、
好きな時に好きなことができる、
誰にも邪魔されない、
叱られることもない、

 

でもやっぱり家に戻りたくなる、

 

何でもできるようで、でも面白くない…
それは、まだ経験していないことがたくさんあるからね。
そしてほかほかのごはんがある幸せを、
叱られてもやんちゃができる子どもでいることを、
子どもは確認したくなるのです。

 

そこが現実世界、子どもにとっての大切な場所。

 

マックスがかいじゅうたちのいるところから戻った、
部屋の窓から見える大きな丸い月が、夜を告げています。

かいじゅうのいるところ、とは何でしょう

船に乗って長い時間をかけて辿りつく場所。

 

マックスが王さまとなったかいじゅうの国は、
大人社会でしょうか。
かいじゅうの国は、自由だけれど自分次第。
白いオオカミのぬいぐるみは、旅のパスポートだったのかな。
だから大人には着れない。

 

ですが、子どもたちは特別な存在です。
なんといっても、
まだ世の中に出て間もないですからね。

 

マックスのように行ったり来たりしながら、
ゆっくりと船旅を現実で進んでいくのですね。

 

ご訪問ありがとうございます。
絵本の解釈は個人的なものです。
絵本選びのきっかけになればうれしいです。