深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

こだわりやお気に入りができたら読みたい『かしこいビル』

この絵本の特徴はなんといっても、
本文も表紙もすべてが手描き文字で書かれていることです。

 

なんとも味のある文字で、子どもすぎず大人すぎない文字。

 

一文字の中にも太さの強弱、
一行の中でも文字の大きさに大小があり、
行が上下に揺らいでいたりします。

 

文字のみのページもあって色がついたり、
絵とともに文字も一ページごとに楽しめる絵本になっています。
文は少ない絵本ですが、絵が多くを物語っていて、
文章のリズムもあって、読むと5分ほどの絵本ですが
小学1年生、2年生によく読みました。

 

なんと! なんと!!

 

では笑いが必ずおきました。

 

かしこいビル
ウィリアム・ニコルソン 作
ページ: 23ぺージ
サイズ: 25x18.2cm
出版社: ペンギン社
出版年: 1982年
 

いつでも一緒にいたいモノたちと旅へ

おはなしのはじまりは、1通の手紙がメリーに届くところから。
おばさまとのなんとも微笑ましい手紙のやりとりがあって、 メリーがおばさんの家へ行くために、
  持っていくものを吟味しています。 メリーのお気に入りの人形、ブラシ、赤い靴、ポットのあれやこれや、 それらが場面いっぱいに描かれています。
 
これらのものを選び、旅に持っていくメリーのワクワク感が、
あらわれているようです。
中でも兵隊の人形がメリーにとって特別なものであることがわかります。
  そして、そのビルを慌てて連れていくのを忘れてしまったメリー。 おいてけぼりを食ったビルの追撃の凄まじいこと。 4ページにわたって飛ぶように走るビルが、
変わる景色とともに描かれています。
 

特別な存在、兵隊の人形ビルが動き出すのは

とうとうー」
のページでは列車の遠くにドーバー海峡の海が見えています。
メリーにたどり着くまでの走りに走るビルの雄姿にはほれぼれします。
そして最後、駅で追いついたビル!(思わずヤッタネ!!)
最後のページにはトランクの上に乗って、
黄色の花束をメリーに差し出すビルと受け取るメリー。
 
一緒に旅したあしげのアップルやスーザンたちも見えます。
「ああ、よかった」と安堵する二人のとお気に入りのものたち。
 
トランクはメリーの世界そのものです。
 
置き忘れてしまったビルが自ら動き出す、
ビルはメリーなのでは、
と絵本を何度も読んで感じました。
 
でも本当に走ってきたのかな、
忘れたと思ったものが思わぬところから出てくる、
なんてこともままありますからね。
 

願いをかなえてくれるお気に入り

どこかへ出かける時に、
何かしら大事なものを忘れてしまうことは、
日常でよくおこりえることです。
 
子どもにとっても、いつもも肌身はなさず持ち歩くもの、 そばに置いておきたいものを忘れてしまった時には、
せっかくの旅も台無しになりかねません。
 
そんな時、大人でも子どもでも思うものです。 忘れたものがこの場に飛んできてはくれまいか、と。
 
やはり、
メリーの大のお気に入りであるかしこいビルが、
そんな願いを痛快にかなえてくれる、
そんな愉快な1冊なのです。
 

トランクにつめるものは何か、と考えてみましょう

メリーのトランクにはいろんなものが詰まっています。
 
子どもの中にもこんなふうに、いろんなものが詰まっているのかしら、
と読み返すたびに微笑んでしまいます。
 
この絵本は子どもと一緒にながめて、
荷物の中身をあれこれ物色するのも楽しいです。
 
そして自分なら何を入れようかしらと考えてみると、
いまあなたに本当に必要なものは何か、
わかるかもしれませんね。
 
ご訪問ありがとうございます。
絵本選びのきっかけにしてなればうれしいです。