深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

いたずら盛りの子どもに読みたい『ひとまねこざるときいろいぼうし』子どもの好奇心の源は?

さるのじょーじの腕白ぶりが描かれる絵本です。

 

てんやわんやの出来事が次々に 繰り広げられる、このおはなしは シリーズになっていて 小学校でもよく読みました。

 

いたずら心をくすぐるような じょーじの活躍に子どもたちも 胸を好くような面持ちなのでは と思います。

 

「アレアレ? じょーじったらどうするの?」

 

と、ついつい子どもたちは 彼と一緒になって行動しているようでした。

 

ひとまねこざるときいろいぼうし

H・A・レイ 文/絵 光吉夏弥 訳
ページ: 54 サイズ: 20.2x16.2 出版社: 岩波書店 出版年: 1983年

 

じょーじの好奇心は子どもたちの好奇心

これは、さるの じょーじです。 じょーじは、 あふりかに すんでいました。 まいにち、たのしく くらしていましたが、ただ こまったことに、とても しりたがりやで、ひとまねが だいすきでした。
これが、おはなしのはじまりです。
好奇心旺盛なこざるは、 黄色い帽子をかぶったおじさんにつかまってしまいます。

 

小舟で大きな船へ移動するときも、 つかまって悲しいけれど、 それよりもまわりを見渡して 珍しいものが面白くてたまりません。

 

おじさんは優しい人で、 大きな町の動物園に連れて行ってくれるというのです。

 

面倒をおこすんじゃないよ、 はい、おとなしくします

 

の約束も、
こざるにとっては、わけなく忘れてしまうこと。

 

次から次へと騒動を起こします。
船でも、町についておじさんの家でも、
あらまぁ!!
の連続です。

 

けれど困ったことになったその時には、 ちゃんと黄色い帽子のおじさんが来てくれます。
そして、互いにおおよろこびし、
めでたしめでたし。
となるのです。

 

いたずらする子どもの気持ちとは

このじょーじのおはなしはシリーズになっています。

 

こざるが様々な体験(いたずら)をする、 まわりは振り回されて、(少しは)迷惑をこうむる、
けれど、どこかみんな楽しそう。
いたずらがいたずらの連鎖を生む、 とはこのこと、と絵本を読んだときに思ったものです。

 

風船で空に悠々と飛んで行ってしまう、じょーじ。 だれもが、この視点に憧れますね。

 

もちろん実際こんないたずらはできませんし、 やったら大変なことばかりです。
見たもの聞いたものをあれこれ試してみたくなるのが、 子どもです。

 

本当に知りたがり屋で
「なぜ」と「どうして」をくり返すものです。

 

やってみたいことは山ほどあっても、
「だめ」なことが多いもの。

 

そんな子どもたちの代弁者(代行者)がこざるなのでは、 と思うのです。

 

消防自動車を呼んでみたい、とか
風船にぶら下がって空を散歩してみたい、とか
部屋中を石けんで泡だらけにしてみたい、とか
自転車を手放しで乗ってみたい、とか
病気になって入院するってどんなかな、とか

 

せめて、こざるのじょーじには 好きなだけ勝手をしてもらいましょう。

 

子どもが絵本から得る体験は 感情としては本物であり 出来事としては伝聞です。

 

自分なりの理解をもって楽しむことを きちんと子どもたちはしていると、 読み聞かせをしていて感じました。

 

絵本で楽しむ良さ

アニメーションにもなっているようですが、 絵本の世界は、また別の楽しさが味わえますよ。

 

自分のテンポでおはなしを読み進められます。
時にはじっくりと、時にはパラパラと。
場面の隅々までながめて、自分なりのお気に入りを 絵本の中に見つけることができるでしょう。

 

この窓の形がいいな、
自分ならこんないたずらを考えるな、
泡だらけの部屋を作ってみたいな、
自分の世界をゆっくりとつくりあげる助けになりますね

 

ぜひ一緒に楽しんでくださいね。

 

ご訪問ありがとうございます。 絵本選びのきっかけになればうれしいです。