深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

4年生に読み聞かせした自然の厳しさと人のくらしを描く絵本『パセリともみの木』

もみの木がタイトルにあることから、
12月によく読み聞かせしました

 

絵柄のせいか落ち着く絵本です。
もみの木の枝がシカの角のようとは、
この絵本で知りました。

 

自然の中で老いていく動植物と、
それを糧に生きる人間の関係をさりげなく描いています。

 

パセリともみの木

ルドヴィヒ・メーベルマンス 作
ふしみ みさを 訳
ページ: 46
サイズ: 25.2x20.4cm
出版社: あすなろ書房
出版年: 2007年

 

木をめぐる人々の営みにも注目する

落ち着いた色あいの絵本です。
 
紙の色も淡いクリーム色。
そこへ緑や茶色のアースカラーがのっています。
 
「パセリ」と呼ばれるようになった大シカと年をとったもみの木の物語。
ふかい ふかい みどりの もりのそのはずれに、
いっぽんの たいそう ふるい もみの木が ありました。
もみの木は きりたった がけを みおろすように たっていました
もみの木と描かれる森の様子と木を伐りだして暮らしに使う人間たちの様子。
 
めぐる季節に自然の厳しさを知るもみの木、
そしてもみの木にいつしかよりそうシカたち。
 
シカはもみの木のそばに生えるパセリが大のお気に入り、
いつしか「パセリ」と呼ばれるようになります。
 
ある朝、猟師がシカを見つけ、鉄砲かまえたその時、
風が吹き、もみの木がしなって猟師を打ったのです。
 
シカは助かり猟師は谷へ…
 

どっしりとした美しい絵

この絵本は開いたとき、右ページに絵、
左ページに文が書かれています。
 
文のページには草花が必ず描かれています。
 
物語が終わったあとに、
この本にでてくる花の名前です。
 
23種類の英語と日本語で名前が記されています。
ナズナ、キバナノキリンザクラ、ワスレナグサ、マウスイヤー・ホークウィード、マツユキソウ、スミレ、クルマバソウ、キンポウゲ、イトシャジン、キツネノテブクロ、コミヤマカタバミ、野生パセリ、セイヨウカワラマツバ、ヨーロッパマンネングサ、ウンラン、ヘザー、カッコウセンノ、のいちご、ウマノアシガタオニアザミオオルリソウ、コゴメグサ、ルピナス
もみの木とパセリの堂々とした姿。
美しくも厳しい自然の風景。
数百年の時を経た、絵画を思わせる色合い。
 
それらが心落ち着く雰囲気を醸し出しています
 

作者のベーメルマンスについて

作者のルドウィッヒ・ベーメルマンスは、
げんきなマドレーヌ」のシリーズで知られます。
 
マドレーヌの洋書を持っているのですが、
日本語版と微妙に違います。
原書は淡い黄色がベースです。
 
でも日本語で楽しめるのはありがたいことです。
作家で絵本の翻訳もしている江國香織さんが、
絵本のエッセイでその色の違いを残念がっていました。
 
ベーメルマンスはオーストリア生まれ、
16歳で単身アメリカへ渡って絵本作家になりました。
 
その絵を原画で見てみたいものです。
きっとすてきでしょうね。
 
ご訪問ありがとうございます。
絵本選びのきっかけになればうれしいです。