深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

月からやってきた男と地球を観察する『月おとこ』

空に浮かぶ月は、絵本にもたびたび使われるモチーフです。
「かぐやひめ」は代表的な伝承昔話。

 

そこにあるのに届かない、わからない、
不思議な世界がひろがって想像がふくらみますね。

 

ご紹介するのは絵もお話もデフォルメが利いて
楽しい!!

 

登場人物がみな特徴があって
忘れられない風貌の人々ばかり。

 

読み聞かせでも
おかしな風貌の主人公をはじめ
おはなしの展開にも目を丸くする子どもたちでした。

 

小学4年生くらいまで読みました。

 

月おとこ

トミー・ウンゲラー 作
たむらりゅういち・あそうくみ 訳
出版社: 評論社
出版年: 1978年
ページ: 39ページ
サイズ: 30.8 x 23.4 x 1.4 cm

 

ユニークなキャラクターが勢ぞろい

トミー・ウンゲラーはなんといっても そのキャラクターの際立ったユニークさ。月おとこが青白い体に白いスーツ姿、 月の満ち欠けで全身がが半分いなったりします。

 

月から眺めていた地球の人々の暮らしが あまりに楽しそうだったので、
ちょっと仲間になって いっしょに踊ってみたい。

そんな軽い気分で、流れ星につかまって、 地球にやってきたのですが。
それからのテンヤワンヤが描かれます。

 

ユニークなのは主人公だけではありません。

 

ほんのちょっと出てくる
アイスクリームやさんや
カメラマンや兵隊さんや消防士、
政治家や将軍も科学者も、
とにかくキャラが濃い、のです。

 

花や樹木、動物たちも
やっぱり濃い、です。
結局、異邦人ですから(宇宙人、月人) 地球ではのんびり暮らせないと悟った月おとこです。

 

月への宇宙船を飛ばすことを夢見ていた科学者の ドクトル・ブンゼン・バン・デル・ダンケルに出会って 月へ帰るのです。
 
博士は眼鏡とヒゲと鼻の長いこと、その名がユニーク。 動物や群衆たちもみな過剰な表情をしていて、 見ている方も気分高揚。
 
月おとこがいちばん人間らしくみえるから不思議です。
読み聞かせすると子どもたちは
この科学者の名前がユニークで
みんなで、早口言葉のように言い合うのです
 
さて、あなたも挑戦してください。
スラスラ読めないと子どもたちの前では読めませんね。
読むたびに、この名前だけは
繰り返し呪文のように読み返してから読みました。
 

いまここにいる場所はつまらない?はなれてみてわかること

最初と最後のページには
まるい月におさまった月おことが、 にんまり顔でこちらを眺めています。
 
やっぱりここはいいところ、とでも言いたげな。
見知らぬところへの憧れと現実のギャップ、 笑って元のさや(月)におさまって。 全体的に深いトーンの色でまとめられた絵が、 濃いキャラクターたちに落ち着きを与えているようです。
月からみる地球は楽しそうにみえるのでしょうか。
一度は月からながめてみたい、そんな気持ちになる絵本です。
 
ご訪問ありがとうございます。
絵本を選ぶきっかけになれたらうれしいです。