人の一生とは…『神の道化師』はクリスマスに読みたい絵本
この絵本は小学6年生によく読みました。
読み終えると、
シーンと不思議な緊張感が残っていたように思います。
クリスマスの本当の意味を知る意味でも読んでほしい絵本です。
神の道化師
トミー・デ・パオラ 作
ゆあさ ふみえ 訳
サイズ: 28x21.8cm
出版社: ぽるぷ出版
出版年: 1980年
表紙で七色の玉をジャグリングしている
道化師ジョバンニの一生を綴った絵本。
パオラの陰影に富んだ色彩と明確な線は
独特の世界を醸し出しています。
特にラスト近く教会に向かうジョバンニを描いた
見開きは圧巻です。
キリストに捧げる大道芸、ひとりの人生をじっくりあじわう
子どもの時からものをくるくる回すのが得意で
生きていく術を見つけます。
街から街へ、市井の人から公爵や王子さまに
技を見せて拍手喝采、国中を渡り歩く生活を続けます。
そのジョバンニも歳をとり、ジャグリング芸も飽きられてしまいます。
そして芸をあきらめ生まれ故郷に戻って、教会へたどり着きます。
ちょうどクリスマスの日で、なにも捧げものがないジョバンニは
むっつりとしたキリスト像の前で芸を披露するのです。
そして息絶えたジョバンニ。
キリスト像は微笑んでおはなしはおわります。
このお話で
- 大道芸人として生きたひとりの人生
- 自分のできることで懸命に生きること
- 誰かに喜んでもらうことの尊さ。
物悲しさも残りますが、
ジョバンニは最後に満足していたように感じます。
「老いと死」を絵本の物語をとおして感じる
この絵本は主人公が老いて死んでしまうという、
結末になっています。
子どもたちは核家族化で人の死に対面することが、
少なくなっています。
ですが、それを絵本で知ることで、
おはなしの中で子ども自身が知ることができます。
静かで清らかな絵のつくり、
クリスマスにこそ、一緒に読みたい絵本です。
大切なお友だちに、その子どもたちに
贈るのもよいと思います。
クリスマスにまつわる絵本はすてきな作品がたくさんあります。
しっとりとした清々しい気分になるおはなしです。
賑わいをみせるクリスマスですが、
キリスト教を信仰するの国々では、
家族でゆっくり過ごすことが多いようです。
贈った人、贈られた人にとって、
大切な絵本となることを願っています。
ご訪問ありがとうございます。
絵本選びのきっかけになればうれしいです。