深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

人の一生とは…『神の道化師』はクリスマスに読みたい絵本

この絵本は小学6年生によく読みました
読み終えると、
シーンと不思議な緊張感が残っていたように思います。

 

クリスマスの本当の意味を知る意味でも読んでほしい絵本です。

 

神の道化師

トミー・デ・パオラ 作
ゆあさ ふみえ 訳
サイズ: 28x21.8cm
出版社: ぽるぷ出版
出版年: 1980年

 

表紙で七色の玉をジャグリングしている
道化師ジョバンニの一生を綴った絵本。

 

パオラの陰影に富んだ色彩と明確な線は
独特の世界を醸し出しています。

 

特にラスト近く教会に向かうジョバンニを描いた
見開きは圧巻です。

 

キリストに捧げる大道芸、ひとりの人生をじっくりあじわう

子どもの時からものをくるくる回すのが得意で
生きていく術を見つけます。

 

街から街へ、市井の人から公爵や王子さまに
技を見せて拍手喝采、国中を渡り歩く生活を続けます。
そのジョバンニも歳をとり、ジャグリング芸も飽きられてしまいます。
そして芸をあきらめ生まれ故郷に戻って、教会へたどり着きます。

 

ちょうどクリスマスの日で、なにも捧げものがないジョバンニは

むっつりとしたキリスト像の前で芸を披露するのです

 

そして息絶えたジョバンニ。
キリスト像は微笑んでおはなしはおわります
このお話で
  • 大道芸人として生きたひとりの人生
  • 自分のできることで懸命に生きること
  • 誰かに喜んでもらうことの尊さ。
物悲しさも残りますが、
ジョバンニは最後に満足していたように感じます。

 

「老いと死」を絵本の物語をとおして感じる

この絵本は主人公が老いて死んでしまうという、
結末になっています。
 
子どもたちは核家族化で人の死に対面することが、
少なくなっています。
ですが、それを絵本で知ることで、
おはなしの中で子ども自身が知ることができます。
 
静かで清らかな絵のつくり、
クリスマスにこそ、一緒に読みたい絵本です。
大切なお友だちに、その子どもたちに
贈るのもよいと思います。
 
クリスマスにまつわる絵本はすてきな作品がたくさんあります。
しっとりとした清々しい気分になるおはなしです
 
賑わいをみせるクリスマスですが、
キリスト教を信仰するの国々では、
家族でゆっくり過ごすことが多いようです。
 
贈った人、贈られた人にとって、
大切な絵本となることを願っています。
 
ご訪問ありがとうございます。
絵本選びのきっかけになればうれしいです。