深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

五感で感じる秋をあじわう『きんいろのとき』はハロウインに読みたい

秋は彩豊富な季節ですね。
空の色や景色もどんどん色が変わっていきます。
 
紅葉で色が変わっていく楓をみたり、
空の水色が空気が冷たくなってクリアになっていく、
そして、大好きなカボチャやサツマイモをほおばる、
そんな秋が大好きです。
 
きんいろのとき
アルビン・トレッセルト 文
ロジャー・デュボアザン 絵
えくに かおり 訳
大型本: 24.8 x 19.8cm
出版社: ポルプ出版
出版年: 1999年
 

秋色満載の絵をたのしむ

表紙を彩るのはハロウィンのカボチャに代表される秋の色、小金色。
両手に抱えたカボチャが豊かな秋を象徴しています。
 
見返しにも線画で描かれた収穫の数々。
右ページには秋のさまざまな景色。
 
左ページには額のようにまわりをとりかこむモチーフの絵が描かれ、
その中に文が書かれています。
 
額に描かれるのは、
輝く麦の穂の、黄金色
森の中のどんぐりは、ベビーピンク
りんごの収穫を大きな荷台に積み込む様子が描かれる、
夜の家がシルエットで浮かぶ、グレー 月夜の真っ青な空に踊るカボチャのおばけは、ピンク
 
色彩がクリアで明るい印象、黒の線と面が際立ちます。
どのページも豊かな色の饗宴がみられます。

丁寧につづられる日常の情景描写

 
おはなしは、遅い夏から始まります。
自然を五感で感じて、綴られています。
 
秋へのゆるやかな季節の流れが、
収穫の畑で、ちゃぐ ちゃぐ ちゃぐ、かた かた かた
楽しい音とともに、耕運機が忙しそうに動いています。
 
子どもたちが行きかう森の中は、
野ネズミやリスがあわただしく秋の実をついばみます。
 
家のまわりや庭には、
ユキヒメドリやゴジュウカラが収穫の後にあらわれます。
そして家の中、
大きな四角いテーブルに真っ白なテーブルクロスを整え、
準備に賑わいます。
 
10人もの人が描かれ、それぞれに忙しい、感謝祭なのです。
 
この絵本の副題は、「ゆたかな秋のものがたり」。
静かに流れる時を絵本とともに過ごせます。
 

おわりに。カボチャは栄養満点、万能野菜

収穫の喜ぶは万国共通なのだと、
絵本を読んで、あらためて思いました。
 
淡々と綴られる情景から秋を十二分に感じられます。
 
カボチャは近年のハロウィンで、
すっかり秋の食材のイメージですが、
夏の間もぐんぐん育っておいしくいただける野菜です。
 
お惣菜にも重宝しますし、
スイーツならパイやプディングにしても、
とにかく使い道に困ることはありませんね。
 
ご訪問ありがとうございます。
絵本選びのきっかけになればうれしいです。