『プーのはちみつとり』絵本のプーさん、子ども時代にいつもそばにいる存在の意味
誰もが知るキャラクター「プーさん」。
ディズニーランドでもおなじみですね。
キャラクターとしてのプーさんを知ってはいても、絵本のプーさんを知っている人は案外少ないのではないでしょうか。
絵本を知ってプーさんが大好きになりました。
プーのはちみつとり
アラン・アレクサンダー・ミルン ぶん
E・H・シェパード え
石井桃子 やく
ページ: 36
サイズ: 21.6x17.2
出版社: 岩波書店
発行年: 1999年
物語を外からながめる
そうら、クマくんが、二階からおりてきますよ。
バタン・バタン、バタン・バタン、頭をはしご段にぶつけながら、クリストファー・ロビンのあとについてね。二階からおりてくるのに、クマくんは、こんなおりかたっきり知らないのです。
こんなふうにはじまる、クマのプーさんのおはなし。
最初の見開きの左ページに、クリストファー・ロビンがぬいぐるみのクマの手を引いて階段をおりてくるシーンが描かれています。
はじめて見たとき、なんだかビックリしたのを覚えています。
それはやはり リズム のように思います。
翻訳のリズムもは独特で、はじめて音読したときはちょっと戸惑いました。
今読んでも日本のお話にはないお話だと感じます。
独特のリズムを楽しむ
このおはなし、構成がちょっと変わっています。
おとうさんが語りますが、クリストファー・ロビンはプーさんと二役なのかな。
まず自己紹介があって、どんなお話をするのかプーさんと相談しているのです。
お話のための前置きがあって、「はちみつとり」のお話がはじまるのですが、時々妙な突っ込みが入ったりするんです。
言葉の意味を聞き返すとか。
挿絵の存在感
大木の扉を開けて立つクリストファー・ロビンが、プーさんと向かい合っている場面は、このプーさんがロビンにとって、本当に大切な友だちであることが一目でわかる、そんな挿絵です。
絵本のプーさんは、とにかく愛らしくて、可笑しくてシェパードの挿絵なしにこのお話は考えられませんね。
よくできた絵本というのはすべからくそうなのでしょう。
子ども時代に「ともに居る」ことの意味
アメリカのマンガ「ピーナッツ」、日本では「スヌーピー」ですね。
そこに登場するライナスはいつも毛布を傍らに置き話すことはありません。
「ライナスの毛布」と呼ばれています。
以下はウイキペディアからの引用です。
安心毛布(あんしんもうふ、 security blanket)とは、がものなどに執着しs手いる状態をさす。一般でいう「お気に入り」や「愛着」がこれにあたる。漫画「ピーナッツ」に登場するライナスがいつも肌身はなさず毛布を持っていることから「ライナスの毛布」とも呼ばれる。
クリストファー・ロビンにとってプーさんはそんな存在だったのかな、とはじめてこの絵本を読んだとき感じました。
絵本のなかのクリストファー・ロビンとプーさんをみていると
・いつも傍らにいて話をきいてくれる
・空想の世界/自分の世界 にすぐ飛んでいける
・守られる存在であり守る存在である
・自分のできないようなことをやってくれる
・優しい気持ちになれる
そして挿絵にあるように
・ハチミツをとるために木登りするプーさん
・上った木から真っ逆さまに落ちるプーさん
・木の扉を開けると草原で待っているプーさん
・泥だらけになって黒い雲のふりをして風船にぶら下がるプーさん
これらは眺めているだけでワクワクします。
ほんとうの話になる
このお話をお父さんに聞かせてもらいながら
「わすれちゃう」と言いながらも
お話してもらう時のは「ほんとのお話」
とクリストファー・ロビンとおとうさんは知っているのです。
おはなしはお話(作り話・創作)ですが、
聞くことによって、おはなしは「本当のこと」になるんですね。
それがおはなしの醍醐味、なのではないでしょうか。
お読みいただきありがとうございました。
絵本選びの参考になればうれしいです。