『ゆかいな かえる』生き物の躍動感が伝わってくる絵本
ゆかいな かえる
ジュリエット・ケペシュ 作
いしい ももこ 訳
出版社: 福音館書店
出版年: 1964年7月
4ひきのカエルが楽しげな表紙。
ミドリとアオは自然に溢れた色、使われている色もこの2色に白と黒のみ。
水辺のアオがほとんどページのばっくの色なので、文字は白ヌキです。
見返しのオタマジャクシがカワイイ。
カエルをはじめ、登場するサカナ、サギやカメが動物の表情は擬人的的ですが、
全体は骨格で描かれています。
カメのこうらの数もちゃんと13です。
おはなしは、オタマジャクシからカエルにかえり、季節を過ごし、
雪の降る冬に土の中で眠る、そんな時間を描いています。
ひいらいた ひいらいた と ぐるぐる まわる。
ばしゃん‼︎てが はなれて しりもちついた。
石井桃子さんのリズミカルな訳が心地よい。
ゆかいなかえるのユーモラスな表情をみるにつけ、
願わくば、カエルの路には出会いませんように。
さて、この絵本を読むと思い出されることがあります。
季節は梅雨前ころだったでしょうか。
雨が降る山道、通る車は少なく
長野から新潟へもどる途中、
ヘッドライトに照らされてひどく何かはねているよう、
まさかカエルとは。
そう、こちらでは雨の日に、カエルがものすごい数はねる道路があるのです。
きゃー、と叫びつつも車を走らせる事を止めるわけにもいかず、
カエル道を行くのです。
きっとタイヤには、ど根性カエルのピョン吉たち。
2009年の大地の芸術祭ガイドブックの北川フラムディレクターのコラム、
ディレクターのはなし②で同じことが書いてありました。
里山巡りの楽しみー動物・昆虫
〜夏の越後妻有の楽しみのひとつは、動物や昆虫。〜雨の日のドライブも気をつけなくてはいけない。ライトに照らされた越後妻有の路はカエルの乱舞。翌日車輪を見ればカエルのセンベイでいっぱいだ。〜
コラムでは、フクロウやムササビ飛び立ち、オニヤンマが車に向かって飛んでくる、レッドリストのギフチョウやカモシカに出会うこともあり、キツネ、タヌキ、ヘビの類はそここに。
〜山野草や径庭の花も含め、アートに導かれての里山巡りは生命の輝きに溢れている。
と結ばれています。
まったくだな、と思います。