深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

2歳から読んであげたい絵本はカバのおやこの信頼関係がみえる『ちいさなヒッポ』

カバの大きさはいつ見ても圧倒されます。
いつも、なんて大きいんでしょ!!
と。
 
息子が子どもだったころ、
動物園に行くことが、何度かありました。
象も大きいですが、足も長めで、目線が上にあるせいか、
カバほど、大きい!という印象を受けないのです。
(もちろん大きいんですが)
 
カバは目線が平行にあるせいなのか、
目の前にたつと、自然と後ずさりしてしまいます。
 
子どもの目に、あの大きさは、
どんなふうに映っているんでしょうね?
 
ちいさなヒッポ
マーシャ・ブラウン 作
うちだ りさこ 訳
ページ: 36
サイズ: 23.8x23.6cm
出版社: 偕成社
出版年: 1984

 

ヒッポは英語でカバのことです。
原題は『HOW HIPPO!』。
 
大きなカバの親子のおはなしで、
子どものカバが、ちいさなヒッポ、なんですね。
 
目を引くのは木版画で描かれた絵です。
使われている色は、
主にカバの濃紺と、背景とカバの口の中の赤、
そして背景のや植物のオリーブ色のほぼ3色です。
 
どの色もかすれて淡い色合いとなって、
カバのように大きな動物を描いても、
場面が重くなりません。
 
カバの開いた口の赤が、その大きさをよく表していますね。

おやこに通じるだいじなことばを持つこと

おはなしは、
カバのおかあさんの背中にのったヒッポの姿からはじまります。
生まれた時から、おかあさんの側を離れたことがないヒッポです。
 
すべての見聞きするものが珍しいヒッポです。
ある日、ヒッポがカバの言葉を覚える時がきました。
「グァオ、ヒッポ」と、まず
おかあさんが ほえてみせます。
「グッ グッ! グァオ!」と、
ヒッポが くりかえします。
「グァオ、こんにちは!」
「グッ グァオ、おんにちは」
「グァオ、あぶない!」
「グッ グァオ、あぶらい」
「グァオ! たすけて!」
「グァオ たっけて」
「いいかい、ヒッポ、グァオが
とても だいじなのよ」
ヒッポのたどたどしさから、幼さが伝わりますね。
 
おかあさんの側にいながら、
生きる術をいろいろ体験しながら教わっていきます。
 

大事なことばが役立つとき

ある日、大人のカバたちが眠っているときに、
ヒッポは、ひとり遊びに出ます。
 
そこで、ヒッポは静かに近寄ってきた、
ワニに襲われるのです!!
しっぽを噛みつかれて引き落とされそうになったその時、
「グッ グッ グァオ!
たすけて!
とヒッポは叫びました。
そこへあらわれたおかあさんカバの勇猛なこと。
 
ワニの胴をガブリくわえて、ほうり投げました。
カバの口のなんと大きいこと!!
 

「グァオ!」は母と子をつなぐことば

 
助かったヒッポにあらためて、
どんなときでも「グァオ」叫ぶように、さとされるヒッポ。
最後にようやく
「グァオ!おかあさん!」
とちゃんと、いえるようになったヒッポです。
 
親に対する絶対的な信頼感と
子どもを絶対に守りたいという母心が感じられます。
 
絵本を見ていると、
 
砂地で重なり合ってひなた水に浸って眠る、
涼しいひぐれになってから動き出す、
食べ物さがしに夜に活動する、
 
など、カバの生態がきちんと描かれています。
小学校の1年生、2年生に読みましたが、
「グァオ」のヒッポの言い間違える部分に、
子どもたちから笑いが起こる絵本です。
 
自分はあんなふうに、間違えない、
ちゃんと言えるぞ、と。
 
子どもの成長を感じさせてくれる絵本でもありますね。
ご訪問ありがとうございます。
絵本選びのきっかけになればうれしいです。