深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

『ふわふわしっぽと金のくつ』異国の行事をたのしむ


 
 
 
ふわふわしっぽと金のくつ
デュ・ボウズヘイワード 文
マージョリー・フラック 絵
 
出版社: PARCO出版
出版年: 1993年7月
 
 
この絵本、春のこの時期にいつも思いだします。
表紙のうさぎたちと柔らかな春色に、ほっとします。
 
キリスト教を信奉する国のお祭りのひとつであるイースター(復活祭)。
キリストが死後3日目に復活したことを記念し、
春の訪れを感謝するお祝いなのです。
 
春分の日の後の満月のつぎの日曜日がその日です。
イースターにかかせないのが、
お話の主人公でもあるイースターバーニーで、
幸運を呼ぶ卵を配るうさぎです。
 
うさぎは、春になるとたくさん子どもを産むので、
生命や多産の象徴、卵は復活の象徴と言われているのです。
 
この日はゆで卵に絵を描いてプレゼントしたり、
うさぎの形をしたりチョコレートやキャンディを食べたりして、
楽しく過ごすのだそうです。
 
おはなしは、
子どもたちに幸運を呼ぶ卵を届けるイースターバーニーになれるのは、
世界中のうさぎの中から5匹だけなのです。
 
ふわふわしっぽのお母さんは言います。
「賢くて、思いやりがあって、すばしっこい子になりなさい。そうすれば、いつかきっとイースターバーニーになれますよ」
 
その選ばれたうさぎを目指す、いなかうさぎの女の子、ふわふわしっぽも思います。
「おとなになったら、わたし、イースターバーニーになるの。いまに見てて!」
 
時は過ぎて、大人になったふわふわしっぽは、結婚して
21匹の赤ちゃんが生まれます。
子どもたちには、お掃除、料理、ベッドメイキング、洗濯、洗い物、お裁縫、歌と踊り、庭仕事、絵を描くことなど、
家のいろんなことを振り分けたのです。
 
そんなふわふわしっぽは、長老に見込まれて、
見事イースターバーニーに選ばれます。
 
卵を配り続けるうさぎたち。
くじけそうになりながらも、長老に助けられ
仕事をやり遂げます。
そして、子どもたちの待つ家に戻ります。
タイトルにある、金のくつ、は
長老がくれたもの、空高く舞い上がることができました。
 
 
 
さて、もう40年ほど前ですが、
一緒に仕事をしていた人の家にお邪魔した時、
壁に絵が描かれた卵が10数個飾られていました。
アクリル絵の具でしょうか、綺麗に発色してラメを使っていたのか、
照明が当たるとキラキラしていました。
 
アメリカに留学していたこともあり、
アメリカ時代の友人が作ったというその卵が、
イースターエッグでした。
ゆで卵ではなく、中身を穴を開けて出して、殻に描いていましたね。
この絵本をはじめて知った時にこのことを思い出しました。