深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

『つきのぼうや』カタチで楽しむおはなし

つきのぼうや
イブ・スパング・オルセン 作
やまのうちきよこ 訳
出版社: 福音館書店
出版年: 1975年10月
 


 

 

縦33.5㎝、横12.7㎝
絵本としてはかなり変形なサイズが目をひきます。
開くとそのわけがわかります。
 
まず、見返しが印象的。
雲間から見える満面の月、薄暗がりの中、月を見上げる人、ネコ?、舟…
月明かりに照らされる地上に影が落ちて、
お話の明るさと対照的な印象さえ受けます。
ですが、月を見上げる気分はこうした気分、のようにも思えます。
そして、最初と終わりの見返しは構図が逆、
さらにおつきさまのポーズも変わって、
お話とリンクしています。
 
上から下へと視線が移る絵本です。
絵も文も、細長い構図におさまっています。
 
絵は表紙同様の心地よいブルーの背景が、ほぼ全ページをしめ、
空、街、海と場所が変わっても、
ずっと続いている感じを与えています。
 
 
お話は、
 
おつきさまが池に映ったおつきさまを見つけ、
つきのぼうやに、連れてきてほしいと頼むのです。
そしてはじまる、つきのぼうやの冒険。
 
空の高いところから低いところ、
地上に近い高いところと低いところ、
水の中の浅いところから深いところ、
そして見つけたつきのともだち、水の中でキラキラ光っていた手鏡。
それを持ち帰って、おつきさまは大満足なのです。