深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

『ぼくはきみできみはぼく』子どもの目線を知りたい時に読む絵本

この絵本に描かれる子どもたちのなんと楽しげなこと。

細く繊細な線、くるくると踊る線、
子どもたちの姿がとにかくたくさん描かれています。
 
あるページでは、6人がしぐさを変えて10のパターン、
どのポーズも弾けています。
子どもの世界で子どもはこんなにも楽しく過ごしていたっけ、
絵本の中の子どもたちを見ていると、思い起こされます。
 
 
 
 
ぼくはきみできみはぼく
ルース・クラウス 文
モーリス・センダック 絵
江國香織 訳
出版社: 偕成社
出版年: 2014年10月
 
 
クラウスの文は、詩であり、物語になり、芝居をし、会話する。
 
最初ページ、
このこは いま ともだちを
まっているところ
まっていて もっと
まっているの
 
野はらに積んだ花を手に、広い空の下で微笑んでいる女の子。
いっつもふたり、なにするのも真似をする男の子。
おおきくなったらうさぎになるの、という女の子は、
大人の女のひとになるまえにね、とわかっている。
 
友だちが子どもたちには不可欠なのだと、
絵本の子どもたちをみて思うのです。
それと同じくらい、一人の時間も大切なのだと、
やはりこの絵本の中の子どもたちを見ていると思うのです。
 
丘に手を後ろ手にしておひさまをみている男の子。
 
いいおひさまだな
いいいえだな
いいかわだな
ぼくがいるおかも
きこえているとりのうたも
ぼくのあたまのなかのおはなしも
 
右ページには男の子と鳥とお日様と家と月の物語。
 
こんな楽しい詩はいかが。
 
まぬけ
 
あなたはまぬけ
わたしはちがう
あなたはまぬけ
わたしはちがう
まぬけまぬけまぬけまぬけ
あなたはほんとにまぬけなまぬけ

 
最後のページは すきの うた
 
あのこが すき  だって
あのこは わたしが すきなの だって
わたしたち すきどうしなの
 
だって
だって
 
ーほら、これがそのダンスー
 
だって、そうなんだもん!
 
こんな世界にいきている子ども時代を大切にしたいと、
すてきな絵本に出会うと思います。

上記は、大地の芸術祭の作品「チョマノモリ」はこの絵本とイメージが重なります