深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

仲直りに言葉はいらなかった『きみなんか だいきらいさ』

お正月休みに帰省していた息子のハチが
6年ぶりに小学校時代の友だちと会うとのこと。
 
センダックのこの絵本を思い出しました。
 
子どもの頃、
仲直りに理由はいらなかったことを思い出しました。
 
 
きみなんか だいきらいさ
ジャニス・メイ・ユードリー ぶん
モーリス・センダック え
こだま ともこ やく
 
出版社: 富山房
出版年:1975年5月
 
 
表紙はつんけんしている男の子がふたり。
ジェームズ」と「ぼく」。

とっても仲良しだった、水ぼうそうにも一緒にかかったくらい、
でも、きょうはちょっと様子がちがうよう・・
 
「ぼく」は雨が降る中、ジェームズの家に行き、絶交宣言するのです。

「きみとは ぜっこうだ!」
「いいとも」
「さいならあ!」
「さいならあ!」
(雨あがる、お日様が出ている。一呼吸あって)
「ねぇ、ジェームズ!」
「なんだい?」
「ローラー・スケート やらない?」
「オッケー! クルクルクッキー はんぶん あげる。」
「ありがとう、ジェームズ!」

(おしまい)

この絵本を読んで、思い出しました。
 
子どもの頃どうやって友だちになったのか。
そしてどうやって友だちでなくなるのか。
 
嫌いになる理由はいっぱいあるけれど
仲直りするのに理由はいらなかったっけ。
 
いつでもどちらかが、声をかけるだけでよかった、
子どもの世界。
 
懐かしさが迫ってきました。
 
 
「ぼく」の微妙な心情が絵をみているとよくわかります。
描かれる子どもはとてもチャーミングなのです。
 
 
小さな子どもには、現在進行形な出来事です。
 
大人には、遠い日を思い出す絵本になっていると思いました。