深読み!海外名作絵本100

発表から25歳年以上読み継がれている”これだけは読んでおきたい”海外の名作絵本の数々。 読み聞かせ歴15年、のべ9000名をこえる子どもたちに絵本を読んできました

1年生の春に読み聞かせたい自然にふれる柔らかい心を養う絵本『わたしとあそんで』

春、小学校に入学してまもない1年生によく読みました。

 

微笑みをたたえた女の子が主人公です。
登場するのは、女の子と動物たちだけ。
それと、空にお日様があって、 いつも優しく見守っています。

 

自然の中にいる子どもは、 とにかく元気です。
息子も4歳くらいの時、ブナ林の急傾斜を 延々と駆け回って疲れ知らずでした。

 

小川でなにか見つけてずっと見ていたり、 まわりにある自然が「いま、とっても うれしい」感覚を 呼び起こさせでいるのでしょうか。

 

はじめて絵本を読むお子さんにぴったりです。

 

わたしとあそんで

マリー・ホール・エッツ 作 よだ・じゅんいち 訳
ページ: 32 ザイズ: 26.4x18.8cm 出版社: 福音館書店 出版年: 1968年

 

どこまでも優しく柔らかい世界にひたることの大切さ

はらっぱの少女のある日がじっくりと描かれています。
あさひが のぼって、 くさには つゆが ひかりました。 わたしは はらっぱへ あそびに いきました。

 

遠くから歩いてくる女の子。 髪飾りと半袖のワンピース、くつ下が白い。 そして彼女を照らし見ている太陽も白い。

 

この太陽は全ての挿絵に描かれており、 そしていつも女の子をみています。

はらっぱにあそびにきた女の子は、そこで見つけた、 ばった、かえる、かめ、りす、かけす、うさぎ、へびに 次々と「あそびましょ」といいます。

 

けれどそれらは、みなかくれてしまうのです。
仕方なく池のほとりの石にこしかけ 「わたしが おとを たてずに…」いると、 かくれた動物たちはつぎつぎと、
女の子のまわりにやってくるのです。
「…じっとしていると、だあれもだあれも もう こわがってにげたりは しませんでした」。
さらに、しかのあかちゃんがやってきて、 女の子のほっぺたをなめました。
わたしああは いま、とっても うれしいの。 とびきり うれしいの。 なぜって、みんなが みんなが わたしと あそんでくれるんですもの。

 

こうして、 満ち足りた笑顔で動物たちに囲まれた女の子。
最後に、 太陽がちいさな女の子を見て微笑んでいるページでおわります。

 

動物たちはどうしてかくれてしまうの?人間はこわい?

 
このお話をを初めて読んだ時、 なぜ、動物たちは「あそびましょ」 という女の子から隠れてしまうのだろう。

 

その問いは文中にありました。

 

「…もう こわがってにげたりは しませんでした。」

 

人は、自然の営み中では、突然現れ、 声を発し、近寄ってくる、恐るべき存在でした。

 

それが小さな女の子であっても。
静かに石にこしかけ、じっとしている女の子は、 自然の草木になったよう。
動物たちの警戒心もとけたのでしょう。

 

動物たちに囲まれて「とびきり うれしいの」 と感じる女の子は、 「あそびましょ」と自分主体の能動的な態度から まわりを受け入れる受動的な態度へと変わりました。

 

受け入れる、そこに大きな喜びを見たのです。
集まった動物の中に、 女の子が「あそびましょ」 と追いかけなかったのに現れたしかのあかちゃん。

 

突然しげみの中にでてきます。
そして女の子のほっぺたをなめたのです。
このしかのあかちゃんが、 女の子を受け入れる役割をはたしているかのようです。

 

ほかの動物は彼女がアクションを起こして逃げられ、 彼女に害がないとわかると戻ってきました。

 

しかのあかちゃん(自然)は、近寄ってきてくれたもの。

 

女の子の「とびきり うれしいの」は 自然の一部となって受け入れられ、 理解された喜びに満ちています。

 

見守る太陽のようにありたい

 
またこの挿絵を見ていると、 ずっと変わらず女の子を見続けていた太陽がいます。

 

いつもだれかのやさしい気配を感じている、 子どもにとって、それはまさに親なのです。

 

子どもたちに必要な慈愛の世界が描かれています。

 

慈しみのまなざしの中ですくすくと大きくなってほしいと願って。
ご訪問ありがとうございます。

 

絵本の解釈は個人的なものです。 絵本選びのきっかけになればうれしいです。